茶道具を買い取りに出す場合の茶道具の種類についての知識

茶道具には様々な種類があり、独特の特徴や分類方法があります。買取に出す場合に、電話やメールで説明をするにせよ写真を撮るにせよ、何を取り扱っているのかを指定できなければ困ってしまいます。ここでは茶道具の種類について説明をします。

福岡でどんなときに買取を依頼するか

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天正15年に豊臣秀吉が九州平定の折り、千利休に命じて箱崎海岸で「利休釜かけの松」とよばれる茶会を開きました。この茶会には博多の豪商で著名な茶人の神屋宗湛が同席するなど、このころから博多は茶の湯の盛んな土地でした。
そのため福岡は茶道具が多くある土地と言って良いでしょう。ではその福岡で茶道具を買取に出す時には、どのようなきっかけがあるでしょうか。

  • 茶道を止めたので茶道具が不要になった
  • 遺産整理
  • 新しい茶道具を揃えるために今使っている古い茶道具を売却したい

などが、よくあるきっかけになります。
このような場合に茶道具の買取を依頼することがあります。
しかし、茶道具には茶碗、湯釜、茶杓など様々な道具が用いられます。それぞれ独特で奥の深いものであり、その中にも様々な種類や分類があります。そもそも、茶碗など名前で用途の分かるものもあれば、棗など名前だけ聞いてもどのようなものなのか分からないものもあります。
買取に出す際に、物の名前が分からなければ困りますので、ここでは茶道具の種類について説明をします。

茶碗ちゃわん

茶碗は抹茶碗とも呼ばれ最もメインになる茶道具です。
抹茶椀の世界は奥が深く安価なものから芸術的な価値のある鑑賞用のものまで様々な種類があります。
茶碗を産地によって分けると、中国大陸由来の唐物、朝鮮半島由来の高麗物、日本国内で作られた和物があります。

唐物は一般に中国産の茶碗を指しますが、安南で焼かれた茶碗も唐物と呼ぶことがあります。高貴で繊細な印象を持つ茶碗が多く、千利休のわび茶以前から、貴族や寺院や武家などで重宝されていました。
天目茶碗や珠光青磁、景徳鎮、呉須赤絵などがあります。安南の茶碗は素朴な作風が特徴です。
高麗物は素朴で簡素なつくりでゆがみがあることが特徴です。高麗時代よりも朝鮮王朝時代に作られたものが多いです。千利休の侘び茶以前は華やかな唐物に人気がありましたが、侘び茶以降は素朴な雰囲気のある高麗物の茶碗が好まれるようになりました。
井戸茶碗と粉青沙器が一例で、井戸茶碗にはさらに大井戸、小井戸(古井戸)、青井戸、井戸脇、といった分類があり、粉青沙器には三島、粉引、刷毛目といった技法や外観による分類があります。

和物の茶碗は一楽二萩三唐津と呼ばれていますが、その他にも備前、志乃、織部、信楽など様々なものがあります。

楽焼は京都の楽家から興った手捏ねの軟陶です。 繊細さと温かみを併せ持ちまた茶を点てるために作られているため茶碗の中に茶筅を動かしやすくする茶筅摺りや飲み終えた後の見栄えを保つ茶溜まりなどの様々な工夫があります。
唐津焼は平安時代から焼かれていたと言われます。重厚感があり素朴な雰囲気が魅力です。
萩焼は温もりと気品があり使い込むほどに味わい深く変化していきます。
また形状については口に向かって末広に広がっていく井戸茶碗、筒がまっすぐに伸びた筒茶碗、高さがなく口の開いた浅めの平茶碗があります。

茶筅ちゃせん

茶筅は湯を加えた抹茶を茶碗の中で混ぜるための道具で竹製のものになります。細くなっている部分を穂といい、穂の数は16本から120本まであります。 穂の本数が多いのは将軍や大名用と言われていますが、実際は穂の本数が多い方が抹茶を立てやすく、むしろ初心者向けと言えます。そのため茶道では、相手よりも多くの本数の茶筅を使うことで「自分はまだ未熟なので」と相手に敬意を表す意味も持ちます。

掛物かけもの

掛物は床の間に飾る掛け軸などのことです。文字を書いたものと絵画を描いたものと文字と絵画の両方が書かれたものがあります。 文字を書いたものには禅語を書いたもの和歌や発句を書いたもの昔の茶人などが書いた手紙などがあります。絵画には唐絵や大和絵があります。

茶器ちゃき茶入ちゃいれなつめ

抹茶を入れて茶席に持ち出すための器を茶器または茶入と言います。濃茶には茶入を用い、薄茶には薄茶器が使われます。茶入は昔から茶人が大切にしてきたもので、名物がたくさんあります。中国で作られた唐物茶入、日本で作られた和物茶入、東南アジアで作られた島物があります。
薄茶を入れる木でできた入れ物は棗といいます。棗とは植物のことですが、この容器の形状が棗に似ていたために棗と呼ばれるようになりました。
茶入には、寸胴形で上部に肩がついている肩衝、胴が丸みを帯びていてりんごの形に似ている文琳、胴に丸みがあり尻が大きく首がほとんどない茄子、中央部分にくびれのある瓢箪、文琳に似た形で胴が丸みを帯びている丸壺、丸壺よりもクビが長い鶴首、胴回りや口周りが広い大海、胴回りや口周りの小さい内海があります。

水指みずさし

水指は茶席で必要な水を入れておくもので釜のそばに置きます。素材も形も豊富で、日本や中国だけではなく東南アジアやヨーロッパのものが使われることもあります。

花入はないれ

花は季節感も現れるもので、茶席に人を招く時に気を使うものです。そのためその花を入れる花入にもさまざまなものがあり、茶人が気を使うものです。
材質で分けると、真と呼ばれる金属製のものや中国製の陶磁器、行という日本製の釉薬の掛かった陶磁器、草という釉薬の掛かっていない陶磁器や竹製のものがあります。
形状で分けると、中釘や床柱の花釘に掛ける掛花入、床の間の天井から吊るす釣花入、床に置く置花入があります。

香合こうごう

茶席でお香を焚いて香りを楽しむとともに部屋に清浄感を与えます。香合は香木を入れておく容器です。正式な茶席ではお茶をたてる前に炉に炭をくべる炭手前が行われます。炭手前を行うときは炭斗に入れて席中に持ち出しますが、炭手前がない場合は香合を床の間に花入と一緒に飾ります。陶器製、金属製、漆器製のものがあります。

炭斗すみとり

この炭手前で用いる炭斗とは、炭を入れて香合、羽箒、釜敷、鐶、火箸を添えて席に持ち出すための器のことです。炭斗には唐物と和物があり、唐物炭斗は藤や竹などで編まれた籠で、籠以外にも漆器類もあります。和物は藤、竹、藤蔓、蓮茎などで編んだものになります。籠以外にも瓢、一閑張、蒔絵、曲物、指物などがあります。

茶杓ちゃしゃく

茶杓は抹茶を茶入から茶碗にすくい出すもので、竹製が主なものになりますが、象牙や木のものもあります。茶人が自分で削るために好みや人柄が伺え、茶道具の中でも重んじられています。

建水けんすい蓋置ふたおき

建水は茶碗を清めた湯や水を入れるもので、こぼしとも言います。また釜の蓋を置く台にしたり柄杓をひくときに使う蓋置があります。

茶釜ちゃがま

茶席で湯を沸かす釜を茶釜とよびます。茶釜は茶道具の中でも特別な存在であり、大別すると芦屋、天命、京釜の3種類に分かれます。
芦屋釜の芦屋は、福岡県の芦屋のことです。鎌倉時代から福岡県の芦屋では釜を生産しており、数ある茶釜の中でも芦屋釜は格調や品質に定評があり、好まれています。しかし残念ながら芦屋釜は今では製作されていません。
天命は、天明や天猫とも書かれ、栃木県佐野市で作られた茶釜の総称です。なお天猫は「てんみょう」と読みますが、これは利休が洒落で付けたそうです。
京釜は室町時代末期から京都で作られたもので、他の産地のものが鋳物師の名前が出てこないのに対して、京釜では鋳物師の名前が前に出てきます。